
♦「守宮のしるし」伝来 昔中国では、男性が守宮(ヤモリ)に朱(水銀と硫黄の化合物。丹砂。)を食べさせて飼い、 その血をとって女性に塗っておくことがありました。 もし、他の男と浮気すれば、このしるしが消えるというのです。 これを「守宮のしるし」と言いました。 その後、これが日本に伝わりました。 しかし当時の日本では(現在もそうですが)、ヤモリとイモリは形・大きさが似ているため、 「守宮」が「イモリ」と読まれるなど、ヤモリやイモリは混合されていて、 そして、イモリがなぜか「媚薬(びやく。惚れ薬のことです。)」とされるようになったのです。 この効き目は「いもりのしるし」とされ、広まっていきました。 ただし日本では、血を女性に塗るのではなく、イモリの黒焼きとして有名になっていきました。 |
♦「イモリの黒焼き」流行 こうして日本では、中国のヤモリと間違えて、イモリが媚薬とされるようになったのですが、 いつのまにか、イモリの雌雄が仲が良く、よく交尾することが、その理由になっていきました。 (注意:実際、アカハライモリは交尾しません。 おそらく、オスが必死に求愛ダンスするのを見て、「繁殖動作が激しい」と考えたのでしょう。 詳しくは、イモリの繁殖で説明します。) そうして江戸時代以降の日本に広まったのが、有名な「イモリの黒焼き」という媚薬です。 それでは、イモリの黒焼きとは、どのようなものでしょう。 イモリが多く出るという、夜、丑の刻(午前1時〜3時ごろ)を狙い、 イモリの雌雄が交わっているところを捕まえて、 引き離し、山を隔てて焼いて黒くなった物のことだそうです。 また、今戸で作った鍋にイモリを入れて、石盤の上で焼く方法もあります。 他にも、イモリの黒焼きの作り方は色々あるようです。 製法はともかく、これを粉にして人にふりかけると、相手をひきつける効き目があるということです。 (異性でなくても、主人や子供、友人相手に使うこともあったようです。) ただのおまじないのようですが、当時は本当に信じられており、需要も多かったそうです。 雑誌の広告にも載せられたほどです。 (「米国で黒焼きが人気で、輸出増加」とも書かれたそうですが、本当かどうかは謎です。) ※なんと、いまだにイモリの黒焼きを販売している店があります。 東京都 台東(たいとう)区の「総元祖黒焼」という店です。
台東区のお店(台東区)※ほかには、イモリ酒(イモリを酒につけたもの)があります。 これも、相手に飲ませると、相手を引き付ける効き目があると考えられていました。 |
♦効き目はあるのか? ・事例 田沼意次の家来、黒澤一郎右衛門という男は、 主人に嫌われていたが、ある日、気付かれないようにイモリの黒焼きをかけると、 気に入られるようになったとう話があります。(甲子夜話) ・根拠 今のところは、全く根拠がないとされいます。 イモリの体から出るテトロドトキシンという毒が、鼓動を速くする働きがあるから 相手を見たとき惚れたと勘違いするという話もありますが、 黒焼きにしてしまえば、毒の働きは消えてしまうようですし、 そもそも相手にふりかけるだけで、効き目が出るとは考えられません。 また、前にも述べたように、「イモリの黒焼き」は日本人が中国の文化を真似し、 勘違いして作り上げた、独自の文化の一つにすぎないのです。 |
♦参考文献 「イモリと山椒魚の博物誌」(碓井益雄(著)工作舎 3045円) 有尾類(イモリ・山椒魚)の博物誌です。 日ごろ、カエルほど目立たない存在である有尾類に注目して、 その日本文化との関わりから科学誌まで、様々な分野から載せられています。 ここに載せたイモリの黒焼きについてより詳しく知りたい人は、 ぜひ一度読んでみてください!
工作舎の本
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♦赤腹の呪法 「赤腹の呪法」は、恋をかなえるための魔術だそうです。「赤腹」は、イモリを示します。 昔、家と家の結びつきが重視されていたため、好きな人と恋愛することさえ難しかったころ、 「赤腹の呪法」が生まれたそうです。 イモリのオスメスがとても仲が良いことから、イモリの形代に呪符を描いて持っていれば、 恋がかなうとされたようです。 まず白い紙を2枚用意し、イモリの形に切り抜き、 それぞれに墨で、左のように呪符を描きます。 そして、その下の方に朱墨で、自分と相手のプロフィールを書き込み、 完成したら、一方をどうにかして相手に渡して、 もう一方は自分が持つようにするそうです。 惚れ薬同様、何の根拠もないことですが、 実行したからといって、特に被害も出ない安全な呪術です。 ※この呪法は「白魔術全書」 <九燿木 秋水(著) 二見書房 900円>に載っています。 Amazon.co.jp:本
※桔梗院という携帯用のサイトでも、同じものが紹介されています。 恋愛・相手に印象づける霊符 |