イモリ全書
繁殖
イモリの繁殖はどのようなものでしょう。
求愛行動がとても複雑です


   イモリの産卵期


  産卵期


 4月〜7月上旬に、平地で行われます。5月ごろが最盛期となります。
 (オスは10月には精子を持っており、実は、秋にも求愛行動が見られます。
 メスも、11月には成熟した卵を持っていますが、翌年まで産卵を引き伸ばします。
 しかし、寒い冬で中断された場合は、水がぬかるむ春になってから再開するようです。)

 ※地域によって多少時期が異なります。



  イモリのからだ


 特にオスのからだにはっきとした変化が現れます。
 オスの尾、胴体、頭部の側面が、白を帯びた紫ががった色になります。
 (これを「婚姻色(こんいんしょく)」と言います。)
 また、尾が上下に広くなり、耳腺がふくらみ、皮膚が滑らかになり、肛門の周りが大きくなります、
 他にも、背に縦線模様が入るなど、さまざまな変化があります。

 外へリンク アニマルネスト・生物図鑑(オスの婚姻色を見ることができます。)




   求愛ディスプレイ

     イモリは、複雑な求愛行動を行います。

メスを探す
  1.メスを探す

 オスイモリは、メスイモリを探して、水底を歩き回ります。
 そして、イモリを見付けるとすばやく泳ぎよって、鼻先を相手に押し付けてにおいを嗅ぎ、
 オスかメスか嗅ぎ分けます。
 相手がメスだとわかれば、オスは、メスの頭のほうへ回って、
 その進路をさえぎるように立ちはだかります
 (相手がオスだとさっさと離れていきます。)


求愛ダンス
  2.求愛ダンス

 そして、メスの鼻先で尾をS字に曲げて、細かく震わせて、誘います。
 この行動を、「求愛ダンス(求愛ディスプレイ)」と言います。
 (近畿地方や中国地方東部のイモリは、後肢でメスの頭を押さえつける傾向があるようです。)

 このとき、オスの総排出腔(尻にある穴)が大きく開き、中にある毛様突起から、メスを刺激する
 ソデフリンというフェロモンを分泌して、誘惑します。
 (ソデフリンは、イモリ独特のタンパク質で、万葉集の額田王(ぬかたのおおきみ)の
  「茜さす紫野行き標野行き、野守り見ずや君が袖振る」という歌にちなんでいます。)

 しかし、オスの求愛が受け入れられることは少なく、
 たいてい、メスはこれを振り切るように泳いで逃げてしまいます。
 それでもオスは、新しいメスを見つけるたびに求愛します。


歩き始める
  3.歩き始める

 メスが求愛を受け入れたときは、オスの首・胴体・尾などを鼻先で軽くつつきます。
 そうするとオスは、体の向きを変えてメスに尻をむけ、尾を曲げたままゆっくり前進し始めます。
 (このとき、オスの尾の先端は、メスの口についています。)

 外へリンク アカハライモリ(清心中学校・清心女子高等学校)(こちらで、本物を見ることができます。)


精包を落とす
  4.オスが精包を落とす

 メスはオスの後について歩き、また鼻先でオスの尾を軽くつつきます。
 それを合図に、オスは立ち止まり、尾を曲げたまま高く持ち上げて、
 総排出腔から、精包(精子が入っている小さな袋)を水底に落として、さらに前進します。


精包を拾う
  5.メスが精包を拾う

 オスの後ろをついて歩くメスの総排出腔が、落とされた精包の上を通るとき、
   総排出腔周辺部分を延ばして、精包を拾います。
 (精包は粘着性があるので、メスの総排出腔周辺にくっつきます。交尾はありません。)

 そして、精包はメスの内部に取り込まれて、
 精包から出た精子は、メスの総排出腔にある貯蓄膿に貯蔵されます。
 (体内受精です。

 ※ちなみに、ちがう地域のイモリを出会わせても、求愛がうまくいかないことがあるようです。
   求愛動作が違うからか、メスの受け入れ合図の違いか、オスが分泌する物質の違いか、
   明らかでないそうです。




   イモリの産卵

受精・産卵
  産卵

 メスは、一人で産卵場所を探し、貯えられていた精子を使って卵を受精させ、
 総排出腔から卵を産みます。

   産卵場所:池や沼、水溜りなどの止水や、ゆるやかな流れがある小川などに卵を産みます。

 ・水中の葉や草の茎などに、粘着性のある卵を1個ずつ産み付けていきます。
  (サンショウウオやカエルが卵塊で産むのに対して、イモリは1個ずつです。)

  そして、卵を守るため、後肢を使って卵を水草の葉で包みます
  (葉を折りたたんだ後、その中に卵を産む?)

 ・親が孵化した幼生を世話することはありません。

 ・一度に数個〜40個ほど卵を産みます。
  繁殖期間中にこれを何度も繰り返し、飼育下では、最終的に100〜400個ほど産みます。

 ※イモリの卵についてはイモリの生活で説明します。




参考文献

  「両生類の進化」<東京大学出版会 松井正文(著)>
 「ビジュアル博物館 両生類」<同朋舎出版 山本洋輔(著)>



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